スキルセットを増やさずに、SAP製品の利便性を向上させませんか?
毎日使う基幹業務パッケージだからこそ使い勝手が重要
ERPは、企業の基幹業務を対象にしたパッケージアプリケーションです。少し古いデータになりますが、2012年、インプレス「IT Readers」のERP研究推進フォーラムが共同で調査した結果によると、回答を寄せた437社のうち「既に導入して活用している」「製品選定を終え、導入フェーズにある」企業を合わせて34.8%の企業がERPを前提に企業情報システムを構成しているとしました。
その中でも、このジャンルでリーディング企業として認められているのが独 SAP社です。全世界に10万を超えるインストレーション実績があり、顧客企業は5万社弱、120か国、1,200万人以上のユーザに利用されているといいます。
SAP製品には、世界中のさまざまな業種における“ベストプラクティス”が包含されており、非常に多彩な機能が網羅されています。ただ、あまりにも機能があるために、企業が自社の業務を遂行しようとすると、画面Aを開いてデータを照会し、次は画面Bを開いて計算業務を行い、画面Cを開いて入力を行うといった具合に、ワークフローが複雑になりがちです。
そのため、企業の中には自社のニーズに最適化した画面インタフェースを別途構築し、SAP製品とはバックエンドでやりとりする仕組みを設けるところもあります。
業務担当者やパートナー企業にとって、毎日利用する製品だけに、入力画面を簡素化してほしい、システムアクセシビリティを改善してほしいというのは切なる願いなのです。承認や決済職務がある経営層や管理職の方々にとって、使い勝手は最も重要です。企業コンプライアンスの観点からも欠かせないワークフローの一環ですが、概して経営層や管理職の方々は多忙で、それこそ世界を飛び回っており、いつも自席にいるわけではありません。自席のSAP製品からしか承認や決裁ができないとしたら、その企業の業務は大きく停滞してしまいます。
最近はスマートデバイスの普及が進んでいますから、「これで承認、決裁ができれば」「会社の統計情報がこれで見られれば」と思うのは、当然の要望といえるでしょう。さらに、社外で動く営業担当者にとっても、営業活動時間を最大化するために、SAP製品の利便性向上は大きな問題なのです。
ベンダーの対応策では複雑にならざるを得ない開発・管理
こうしたニーズに対するSAP製品の対応の一つが、SAP Rapid Deployment solutionsです。導入するソフトウェアを今すぐ必要な機能に絞り、その範囲で製品を含めた導入サービスが提供されるというものです。Plug&Play方式であるため3ヶ月以内と短い開発期間で導入でき、コストも一般的なSAP製品を導入するのに比べて、かなり削減可能とされています。ただし、ある意味“割り切った”ソリューションであるため、この方法だと企業の詳細な業務ニーズにフィットさせることは困難です。
もう一つのSAPからの提案は、ユーザおよび業務特性に合わせた個別ソリューションの提供です。同社は、Web GUIに加えて、UI画面のカスタマイズツールとしてSAP Screen Personasを、モバイル、デスクトップ用アプリケーション群としてSAP Fioriを提供。汎用的で多くのユーザに利用されるアプリケーションはSAP Fioriに置き換え、ユーザの業務内容に応じたカスタムアプリケーションを開発したり、リニューアルするならSAP Screen Personasを、といった適材適所での活用を勧めています。
確かに、これらを適用することでアプリケーションの利便性やアクセシビリティは向上するのですが、SAP Screen PersonasはSAP独自言語ABAPに加えてWebテクノロジー、SAP FioriはHTML5に加えてOpen Data Protocolに習熟する必要があります。つまり、使い分けすることで、企業全体のアプリケーション開発戦略と、自社で維持しなければならないスキルセットは複雑にならざるを得ないのです。
日本ネクサウェブがXCRO CBPでトータルソリューションを提供
これらの課題を解決しようと登場したのが、日本ネクサウェブのXCRO CBP(Custom Built Platform)です。SAP GUI環境を当社nexacro platform基盤のカスタマイズ型ERP環境に拡張するソリューションです。SAP Rapid Deployment solutionsの代替ソリューションでありながら、Rapid Custom Built Platformという考え方で、大きな自由度を提供します。
具体的に、XCRO CBPは3つのソリューションバリエーションがあります(図1)。
図1: XCRO CBP 機能構成
1つめは、Pre-defined Templateソリューション(図1イエロー部)です。XCRO CBP側に、SAPアプリケーション上で頻繁に使用されるGUIテンプレートをあらかじめ準備しており、それを組み合わせてPlug&PlayでGUIを構築するというものです。これにより、テンプレートを使いながらも“お仕着せ”でないGUI開発が可能です。
もし、実現したいアプリケーションでPre-defined Templateが準備されていなければ、2つめのソリューションバリエーション Automation(図1ブラック部)を利用することができます。これはXCRO CBPの提供するUI Auto Generatorを利用して、SAP ERPのGUI画面をソースにお望みのUIを自動的に作成してしまおうというものです。その転換手順は図2のとおりで、転換したいシステム機能を決定したら、UI Auto Generator Console上でそれを選択、転換後に必ず表示させたいデータフィールドや展開画面サイズなどを指定したら、あとはUI Auto Generatorが実行可能なUIを生成します。後は必要に応じて手動で微調整すれば完成となります。
図2:UI Auto Generatorによる UI転換方法
自動作成が困難な、複雑な構成のGUI画面については、3つのめのソリューションバリエーション Custom-Built(図1レッド部)を適用します。これは「nexacro platform」の統合開発環境「nexacro platform」やX-UP Builderを使ってアプリケーション開発を進めていきますが、開発言語はであるため、開発者にとって敷居が低く、また一度作り上げたプログラムソースは追加コーディングの必要なく、マルチプラットフォームで動かすことができます。
これら3つのソリューションバリエーションを活用すれば、中心にスキルセットをシンプルに抑制しながら、デスクトップPCからモバイルデバイスまで、真に使い勝手のよいSAP製品インタフェースを迅速に展開することができます。
すでにXCRO CBP採用でSAP製品の利便性向上を実現した企業も
実際、あるグローバル企業は海外営業活動に際して、SAP製品の煩雑なGUI画面に課題を感じていました。そこでXCRO CBPを採用し、海外営業に最適化した簡単オーダー生成機能を実現しました。必要な入力フィールドだけが一枚のGUI画面にすっきり収められたため、利便性が大きく向上しました。
また、ある流通事業者は注文登録作業の業務効率を高めるため、スマートフォンでも注文受付ができるよう、アプリケーションを拡張しました。これにより、同社の営業社員、協力会社担当者は、営業で外回りをしている途中でも注文をシステムに登録できるようになりました。