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コラム◆IT散歩/第13回:「『黄金比』・・・その神秘」(後編)

前編で、黄金比とフィボナッチ数列について、そしてデザインでの黄金比は美しさと調和をもたらす、と書いた。

後編は、いよいよ「その神秘」。

【自然界の黄金比】

タイトルの「黄金比の神秘」はここにある。

・オウムガイは対数螺旋に従う


黄金比を語るときに必ずといって表示される図がこの図。

この図(四角形)は黄金方形という。黄金方形の辺の長さは縦横で黄金比をなしている。ここから正方形Aを切り出すと、また黄金方形(正方形Bを含む長方形)が現れる。そして、ここから正方形Bを切り出すと、さらに黄金方形が現れ、理論上は無限に続く。

そして、正方形の1角を起点とし四分の一円を描いていくと、螺旋模様が作られる。まさにオウムガイの貝の形と同じだ。

これは対数螺旋(または等角螺旋、ベルヌーイの螺旋)と呼ばれるもので、 r = 〖ae〗^bθで表せる(数学に入り込みたくないので、ここまでで)。

オウムガイについては、「そうではない」という意見もあるが、複数の個体を調べればずれているものもあるだろう。

対数螺旋は貝の形を決めるときのシンプルなルールである。

では、なぜ螺旋になるのか?
貝の本体が成長するとき、貝の殻も大きくなる必要がある。それができない種は、別の殻を探して抜け出し引越しをする。貝の殻を大きくするとき、真っ直ぐ長く長く伸ばしたならば、動くにも防御(敵に見つかりやすいかどうか)にも不都合だ。螺旋の伸び(成長)は理にかなっている。

では、もっとコンパクトにするにはどうするか?ひねりを入れればいい。平坦な螺旋ではなく回転を持つ巻貝のような螺旋だ。

 

・ヒマワリの種はフィボナッチ数で作られている

 

 

よく眺めると時計回り(赤線)の配置と反時計回り(青線)の配置が交差している。

自分で数えたわけではないが、ヒマワリの種は、
時計回り21本、反時計回り34本
時計回り34本、反時計回り55本
時計回り55本、反時計回り89本
この3パターンしか存在しないらしい。

21、34、55、89 見事にみなフィボナッチ数である。

(画像引用、参考:https://analytics-notty.tech/fibonacci-and-goldenratio-in-sunflower/

先ほどの貝同様、コンパクトに種を敷き詰めるためと言われている。

・植物の葉は、螺旋を描く

植物の葉の配列を葉序という。葉序にはパターンがあり、ヒマワリのような1本の茎に対する葉は互生葉序(1つの節には1枚の葉しかつかない)であり螺旋葉序となる。

 

(画像引用:http://amanafarm.naganoblog.jp/e2009912.html)

 

上から見た図(螺旋葉序)では、一番下の「1」から右回りで上方に螺旋を描きながら「2」、「3」「4」・・・と葉が付いていく。
このとき、「1」「2」、「2」「3」と、葉と次の葉との角度は、約137.5°で形成される。ここでも黄金比が関係してくる。

円は360°、これを黄金比Φの二乗(Φ^2)で割ると、約137.5°という数字が現れる。

植物は光合成を行う、自らの葉が下の葉に当たる日光を遮ってはいけない。日光・雨・空気にさらされる面積ができるだけ大きくなるよう配置を取っている。その結果が螺旋であり、黄金角(137.5°)だ。すごいと思いませんか。

「葉序」については、ネット上にたくさんの研究成果が載っているので、興味がある方はぜひ参照してください。

自然界には、他にも多くの黄金比に該当する事象が存在する。

生物が存続するうえでの法則と言えるものが、数学で証明できる。逆にそうした法則が数学的でなければ、自然から淘汰されるということか・・・。

最後に黄金比の例をもう一つ。

 

・「五芒星」・・・

 

 

星マークとして認知されているが、NHKの「チコちゃんに叱られる!」で、チコちゃんが「なんで星は☆形なの?」と。

チコちゃんの答えは「星がヒトデに見えたから〜」。

星の表面はデコボコしているが遠くから見る形は丸いはず。ではなぜ?答えは眼の構造にあった。

 

虹彩は、瞳孔(真ん中の小さな黒い部分)の回り。規則正しい円ではなく、ギザギザしている。

この虹彩によって、星が放射線状に見える。車のヘッドライトや街灯で光が放射されて見えることと同じ。

この放射線状の星を、古代エジプト人が身近だった海の生物である「ヒトデ」に見立てたことから、それが引き継がれているとのこと。チコちゃんを信じましょう。ちなみに「ヒトデ」は「海星」と書く。

 

 

 

本題だが、

五芒星の外側には正五角形が描ける。そして、五芒星の中に小さな正五角形ができる。その角を繋ぐと、小さな五芒星が現れる。これはどこまでも続く。

図中の線分a,b,c,d,e,fは、線分の長さが短くなる順番。ここに特徴がある。 「どの線分も1つ前の線分にくらべ、黄金比Φに等しい比で小さくなっている」

a/b = b/c = c/d = d/e = e/f = Φ が成り立つ。

 

 

黄金比はデザインにおいて調和と美しさを持つ。自然界においては生存のための法則、摂理とも言えるだろうか。

黄金比は本当に神秘だ。
ヒマワリの種がその面積内に多くの種を作るために黄金比が使われる。自然界での神秘と思えるし、その黄金比はデザイン面で人の心に美しさや調和を与える。神秘と言わずして何と言えば良いのか。

みなさん、興味が湧いたと思ったら、文献などでもっと深く触れてください。

 

参考・参照文献
「黄金比はすべてを美しくするか?」(マリオ・リヴィオ、斉藤隆央〔訳〕)ハヤカワ文庫
「黄金比 自然と芸術にひそむもっとも不思議な数の話」(スコット・オルセン、藤田優里子〔訳〕)創元社
「波紋と螺旋とフィボナッチ」(近藤滋)秀潤社

参考・参照記事
https://analytics-notty.tech/fibonacci-and-goldenratio-in-sunflower/

文責:永井一美

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